Note: この記事は過去にnoteで公開したものを移行したものです。 元記事はこちら
「どんな仕事が自分に向いているか悩んでいる」という課題に対し、特性やストレス要因に寄り添った提案ができる「自己診断・適職提案AIアプリ」を個人開発した。
今回は、最近出た『部下としてのAI』という本の思想を参考に、「AIを優秀な開発メンバー(部下)としてプロジェクトに組み込む」というアプローチを実際の開発プロセスで検証した。上流の仕様検討から下流のテスト駆動開発(TDD)、デプロイまでの一連のプロセスをAI(Gemini / Antigravity)とどう回したかの備忘録。
1. 『部下としてのAI』をベースにした開発プロセス
ツールの特性に合わせて適宜使い分けながら、実業務のフローを意識して以下の手順で進めた。
① 仕様検討・要件定義(使用ツール:Gemini)
まずは課題のブレストからスタート。コンテキストの理解が深く、チャットでじっくり壁打ちができるGeminiを使い、こちらの意図を明確に伝えながら仕様を具体化していった。
15問の診断で「性格特性」「学習スタイル」「ストレス要因」を多角的に可視化する。
Gemini APIを組み込み、診断結果に応じた具体的な職業やアクションを提案する。
② アーキテクチャの選定・レビュー
AIにいくつか言語やインフラ構成の提案(資料作成)をさせ、こちらでレビューを行った。データの持たせ方や開発スピードを考慮した結果、インフラにはGCP(Google Cloud Platform)とFirebaseの組み合わせを採用することに決定した。
③ 詳細設計
Firestoreのデータ構造定義など、裏側の仕組みの初案をAIに作成させ、手戻りがないよう細部を詰めた。
④ テスト駆動開発(TDD)での実装(使用ツール:Antigravity)
品質と堅牢性を担保するため、実装フェーズではテスト駆動開発(TDD)を採用。具体的なコード生成やエラーログの解消など、テンポ重視のやり取りにはデスクトップアプリのAntigravityを利用した。
AIに対して「まずテストコードを作成」→「テストをパスするための最小限の実装」→「リファクタリング」という明確な指示を出して進めたが、当然一発で全てが綺麗に動くわけではなく、初期段階ではかなりの数のエラーが発生した。 検証環境でエラーの挙動を一つずつ詳細に確認し、修正コードを当てては再テスト、という「テストが100%合格と認識できるまで修正ループを愚直に回す」対応を行った。Antigravityの爆速なレスポンスを活かすことで、このRed/Greenのサイクルを高速で回し、正確にコードを組み上げることができた。
2. 実際にプロセスを回してみての気づき(AIのすごさと恐ろしさ)
アプリ完成後、AIに「システム全体の構造を教えて」と頼んだところ、すべてのファイルの役割や通信の流れ、テストの意図までを網羅した『SYSTEM_GUIDE.md』というドキュメントを自動生成してくれた。まさに「指示した以上の成果物を出してくる優秀な部下」の動きそのものだった。
検証環境でエラーの山と格闘し、都度確認を挟みながら、最終的に無事デプロイ(公開)まで漕ぎ着けることができたが、一連のプロセスを終えてみて感じたのは、「AIのすごさ」と同時に覚える「恐ろしさ」だ。
振り返ってみると、確実に「自分が構築のために手を動かす頻度」が激減していた。 仕様を伝えれば、設計も、テストで出た大量のエラーへのアプローチも、デプロイに必要な構成も、AIが驚くほどのスピードで正確に打ち返してくる。
生産性を爆上げしてくれるツールとして見ればこれ以上ないすごさだが、エンジニアの視点で見れば、「人間が泥臭くデプロイやバグに悩むフェーズ」の本質がここまで代替されてしまうのか、という静かな恐ろしさもある。だからこそ、AIに丸投げして中身をブラックボックスにするのではなく、エラーの挙動やプロセス、仕組みを人間が100%「理解」した上でコントロールしていくスキルが今後は絶対に不可欠になると身をもって実感した。
3. 完成したWebアプリのご案内
(9/14に廃止しました。)
試行錯誤を経て、無事に「自己診断・適職提案AIアプリ」が完成し、デプロイまで完了しました。 もし「今の仕事が自分に合っているか悩んでいる」「自分の特性を客観的に見つめ直したい」という方がいれば、ぜひ触ってみていただけると嬉しいです。
アプリURL: https://self-analysis-app-43249804449.asia-northeast1.run.app
簡単な使い方:
ページにアクセスすると、初回の診断はログインなしで誰でもすぐに受けられます。
15問の診断に直感で答えていきます。
ダッシュボードであなたの「性格特性」「学習スタイル」「ストレス要因」が可視化され、Geminiによる具体的なアドバイスが表示されます。
さらにアカウント登録(ログイン)をすることで、診断結果を保存し、メンタルの推移を定点観測できるようになります。
4. まとめ
今回は『部下としてのAI』の思想を借りて、仕様検討からTDD実装、Cloud Runへのデプロイまでの一連のプロセスをAIと一気通貫で回してみた。
初めてGCPを触るきっかけにもなり、本に書かれていた「AIへの任せ方・指示の出し方」を実際の開発フローで試す良い実践ログになったと感じている。 特に、検証環境でエラーの挙動を確認しながらテストが合格するまで愚直にループを回した工程は、システムへの理解を深める良い機会になった。
それと同時に、技術の進化に対するある種の危機感も含め、今後の開発やプロセス設計においてAIをどう巻き込んでいくべきか、多くの示唆を得られる取り組みとなった。
5. 本日参考にした本
今回の開発プロセスを設計するにあたり、以下の書籍のアプローチを大いに参考にさせていただきました。AIをツールとして使うだけでなく、チームの連携メンバーとして捉える視点を与えてくれる、全エンジニアにおすすめの一冊です。
書名: 『部下としてのAI 世界一流エンジニアの進化術』
著者: 牛尾 剛
出版社: 文藝春秋
